令和5年度 獣医師体験プログラム「いちばん身近な存在「ペット」の健康と幸せを守るには」(9月3日)

大阪公立大学 獣医学研究科 小動物臨床医学教室の酒居幸生先生を講師にお迎えし、「いちばん身近な存在「ペット」の健康と幸せを守るには」と題して、低学年と高学年の2回に分けてプログラムを実施しました。

大阪公立大学 獣医学研究科 小動物臨床医学教室 酒居先生

はじめに先生の自己紹介をお話いただいた後、先生が勤務されている大阪公立大学の病院内の様子を、スライドで紹介してくださいました。
大学に併設された大きな病院なので、診察室は9つもあります。

待合室もとても広く、スライドを見た低学年の子どもからは、「へ~!」という驚きの声があがっていました。

次に、どのような手順で診察をしていくのかについて、お話しくださいました。

まず、飼い主さんから動物の症状をお聞きし、次に身体検査をします。そして、血液検査やレントゲン検査、場合よっては超音波検査やCT検査を行うそうです。

CT検査を行う場合、動物は動くため、麻酔をかけて検査をするということです。CT検査ではレントゲン検査では見えないところまで見ることができますので、検査の動画をスライドで見せてもらうと、低学年の子どもたちは「うわ~!」と声を出して驚いていましたが、高学年の子どもたちは「うんうん」と頷きながら、納得するように見ていました。

講師の酒居先生は、対象の学年に合わせて少しずつ話の中で使う言葉や言い回しを工夫してくださり、子どもたちがより理解しやすい方法で伝えてくださっています。

病気になった動物のスライドを見ながら、どこがどう悪いのかを説明もしてくださいました。

人間はどこが痛いか、どこの調子がどう悪いのかと異常を自分の言葉で伝えることができますが、動物は言葉で伝えることができません。黙ったままで調子が悪いところをあまり表には見せないので、飼い主が動物の不調に気が付いてあげることがとても大切です。それには、普段から飼い主がどんなことに気を付ければ良いのか、以下のようなことを教えてくださいました。

・元気はあるか
・食欲はあるか
・水はどの程度飲んでいるか(普段より多くのんでいないか)
・おしっこの量は増えたり減ったりしていないか
・よく吐いたりしていないか
・下痢や柔らかいウンチをしていないか

などに気を付けて、調子が悪そうなら早めに病院に連れて行ってあげることが大切とのことです。

一通り、お話を聞いた後は、子どもたちも獣医師と同じように白衣を着て、ぬいぐるみの犬と猫を使用して模擬診察をしてみました。

その前に、何故、白衣を着るのかということについて教えていただきました。

それは、白衣を着ると汚れがわかりやすく、例えば寄生虫のいる動物のウンチが服についてしまったり、病気の動物の血液がついてしまったときなどに、気付かずに次の動物の診察をした場合、病気をうつしてしまうかもしれないため、汚れてもすぐに分かる白衣を着ますとのことでした。

小さな獣医さんたちは真剣な顔つきで、まず聴診器で自分たちの心臓の音を聞き、次にシリンジを使用して注射や採血の練習をしました(針はついていません)。

実際に犬や猫の心臓の音を聞いたり、注射をするときには暴れたり嫌がったりする場合もあるため、他の獣医師や愛玩動物看護師と協力して動かないように保定してもらいながら行います。

採血をする際は、親指で太い血管の上を押さえて血管が見えやすいようにしたり、片手でシリンジを使うコツなどを教えてもらい、子どもたちも真剣な面持ちで取り組んでいました。

注射をするときは、首や背中などの皮が余っているところの方が注射しやすく、動物の痛みも少ないそうで、キュッと皮をつまみながら行う注射の仕方も教えていただきました。

質問の時間に、「レントゲンを失敗したら撮りなおすのですか?消すのですか?」と質問がありました。先生からは「犬や猫のレントゲンはどうしても動いてしまうので、呼吸に合わせてタイミングをみて、うまく胸が膨らんだ時に撮影します。失敗したのは消します」と答えていただきました。

家で動物を飼っているという子どもさんも多く、みんな最後まで熱心に先生のお話に耳を傾けていました。

参加した子どもたちからは、「自分のペットに異じょうがあったときにどこを見て判断したらいいか知れてよかった」「ちゅうしゃのたいけんは、なかなかできないしふだんじゅういさん(どうぶつのおいしゃさん)はどうゆうふうにちゅうしゃをしているのかわかったし、おもしろかったです。」「自分の心臓音を聞いたり、犬のもけいでさい血のれんしゅうをしたり参考になりました」というコメントが寄せられました。

最後に先生が「将来獣医さんになりたい人!」と尋ねると、多くの子どもたちが手を挙げていました。

このプログラムを受講した子どもたちの中から、将来、獣医師が誕生したら素敵ですね。

今後の、獣医師体験プログラムについては下記よりお申し込みください。

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