こうべ動物共生センターのアドバイザー柴内裕子先生、村田香織先生の講演会が開催されました(7月28日)

 7月28日(日曜)、大阪で開催されたWJVF(West Japan Veterinary Forum)第15回大会に参加しました。この大会は、公益社団法人 日本動物病院協会(JAHA)と一般社団法人 日本臨床獣医学フォーラム(JBVP)が主催された大会で、関西を中心に西日本地区において獣医師や愛玩動物看護師とACSに良質な卒後教育を提供し,動物医療のクオリティ向上を目指す獣医学術集会です。

JAHA 宗像会長

 大会での市民公開講座においてJAHAの獣医師、柴内裕子先生(こうべ動物共生センター/セラピー研究フィールドアドバイザー)、村田香織先生(同/適正飼養アドバイザー会議座長)が当センターの大切なテーマである「人とどうぶつの絆(ヒューマンアニマルボンド)」について講演をされました。

 日本初の女性獣医師としてご活躍されている、柴内裕子先生の講演は、「人の心身の健康と幸せを支え続けている伴侶動物 —その医療と60年の歩み、今伝えたいこと、そして新たな試み—」でした。
 海外での共生社会を見てこられた先生は、日本での一般家庭犬の社会における行動や処遇の差を痛感され、設立当初のJAHAに参画、1978年当時50年も遅れていると言われていた日本の動物医療の進歩に奮闘されてきました。
 JAHAの4代目会長として、1986年にスタートさせた「人と動物とのふれあい活動(CAPP活動)」では、高齢者施設、医療施設、児童関係施設など全国で22,000回以上の訪問活動を行い、司法の場での児童への付添犬などへも活躍の場を拡げています。
 79年前、第二次世界大戦での敗戦を経験した先生は、戦争がいかに子どもや動物たちを犠牲にするのか、どんな悲惨なことが起こるかを伝える者も少なくなった現在、「戦争などしている場合ではない、いかに悲惨であるか経験を通じて伝えなければならない。」との想いを強くお持ちで、お話を伺った私達も、改めて、「伴侶動物との平和な生活を続けられる社会を守っていく大切さ」を受け取りました。

 柴内先生は、伴侶動物がより社会に受け入れられるための新たな取り組みを提案されています。
https://knots.or.jp/wp-content/uploads/2024/08/Pet&Life_202407197_essay.pdf

 こうべ動物共生センターのプログラムでご活躍いただいている、村田香織先生の講演は、「One Well-being 日本動物病院協会JAHAでの活動を通して —こいぬこねこ教育アドバイザー育成を振り返る—」でした。
 One Well-being は、人も動物も環境も良い状態であることを指し、人の福祉、動物の福祉、環境保全を前提に、より良い状態を目指すものです。人がこの地球で幸福に暮らすためには、人はもちろん動物や環境もより良い状態である必要があり、今後さまざまな分野の専門家や個人そして社会全体で取り組んでいかねばならないテーマです。
 動物のしつけは人のウェルビーイングを高める手段のように感じられますが、同時に動物のウェルビーイングを高めることを目的としており、愛玩動物が人の社会で幸せに暮らせるように教育することが、人の幸福度を高めることにもつながります。
 先生は、子犬子猫期からの社会化を含む教育の重要性を拡げるため、2006年よりJAHAの「こいぬこねこ教育アドバイザー養成講座」をスタートから担当され、家族の一員としてはもちろん社会の一員として歓迎され、CAPP活動などの社会貢献も視野に入れた愛玩動物の教育システムの完備に尽力されています。
 村田先生の講演から、全国の動物病院に「こいぬこねこ教育アドバイザー」が拡がっていけば、より幸せなペットとの暮らしが社会に浸透していくと実感し、こうべ動物共生センターでも、引き続き、子犬子猫期からの社会化を含む教育の重要性を伝えていきたいと心を新たに致しました。

 大会の展示ブースでは、CAPP活動に参加しているわんちゃんとのふれあいコーナーで、当センターでの事業に協力いただいているわんちゃんに出会うことができました。

 WJVF大会では、獣医師、愛玩動物看護師、トリマー向けにたくさんの講座が開講されており、多くの方が参加されていました。
 偶然にも、7月の「獣医師の世界を体験しよう!」プログラムでエキゾチックアニマルの講師をされた、佐々井浩志先生に出会う事ができました。

佐々井浩志先生(右)

 WJVF大会は毎年開催されています。
 https://www.jbvp.org/wjvf/