2023.07.13
令和5年度「いのちの教育」プログラム プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ」(7月13日 神戸市立泉台小学校)
7月13日(木曜)、神戸市立泉台小学校の2年生2クラスの子どもたちに、「いのちの教育」プログラム プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ」の授業を実施させていただきました。
「いのちの教育」プログラムは、プログラムⅠ~Ⅲの3つのプログラムで構成されていますが、次のプログラムに入る前にいずれも前回の内容のふりかえりを行いますので、最初にプログラムⅠ「私たちと動物の関わり」のふりかえりを行いました。
「街」で暮らし、人間が最後まで世話をする【ペット】と関わる中で、私たちは楽しかったり癒しの気持ちなど、「いい気持ち」を感じることができます。
「牧場」で暮らす【家畜】からは人間の役に立つものを与えてもらうことで「健康」でいることができます。
「自然」の中で暮らし、自分の力で生きている【野生動物】は、一見つながっていないように思いますが、同じ自然環境の中で生きているということでつながっています。水や空気をきれいに保ち、自然環境を大切にすることで、お互いが「あんしん」して生きていけるのです。
プログラムⅠでは、「人間と動物はつながっている」という大切なキーワードを全員で唱和して終了しましたので、子どもたちと一緒に再度確認しました。
この「ふりかえり」を行うことはとても重要で、長期的に子どもたちの記憶の中に定着する学習効果があります。
プログラムⅠの実施内容については前回の実施レポートをご参照ください。
「いのちの教育」プログラム プログラムⅠ「私たちと動物との関わり」(2023年6月22日 神戸市立泉台小学校)
さて、いよいよプログラムⅡの始まりです。「自分は生きていると思う人はいますか?」と質問してみました。
こんな質問をされることはあまりないので、子どもたちは、「えっ?」という反応でしたが、周りのお友達の様子を見ながら手を上げてくれました。
続いて、「では、どうして自分は生きていると言えるのかを教えてください」と質問すると、最初に「心臓!」という言葉がでてきました。「心臓が動いてる!」「寝て起きる!」「食べる」「動いて、走れる」「血が流れている」という意見がたくさん出てきました。普段当たり前に行っていることですが、これらは生きているからこそできることなので、私たちが「生きている証拠」だと言えます。
子どもたちが挙げてくれた「心臓が動いている」という「生きている証拠」を、本当に動いているのか確かめてみることにします。
「今日は特別なマシーンを持ってきました!」と紹介したのは、聴診器を胸に当てたときに聞こえる心臓の音を、スピーカーを通して聞くことができる拡張心音計という機械です。初めて見る機械に、子どもたちのワクワクを隠せない様子が見て取れました。
まずはスタッフの心臓の音がスピーカーから聞こえる様子を確認し、2グループに分かれて子どもたち一人ひとりの心臓の音を聞き比べます。
「自分の心臓の音が聞けるの?」「初めて!」と歓声もあがりましたが、始める前にお約束があります。「お友達の心臓の音を聞いているときは、しゃべらない、笑わない」ことです。しゃべると心臓の音は聞こえません。耳を澄ませて、何か違っていることがないかを良く聞き比べてもらいます。
全員の心臓の音を聞き終わった後、子どもたちは「音の大きさが違う!」「速さが違った!」「音がゆっくりな人もいたし、早い人もいた」「リズムがあった」など、気づいたことを発表してくれました。
「同じ人間なのにどうして違うのかな?」と質問すると、「体格が違う」「食べているものが違う」「生活の環境が違う」などといった意見が聞かれ、一人ひとり全員違う人間なんだということに気づきます。
一人ひとり違う人間だからこそ、心臓の音=「いのちの音」も全員違います。自分が持っている「いのち」は世界でたったひとつのもので、人間だけが「いのち」を持っているのではなく、動物も同じようにそれぞれにたったひとつの「いのち」を持っているということに気づきます。
子どもたちは、こうした体験をとおして「生きている」ということを実感していきます。そこで、「動物も生きている」とみんなで大きな声で読み上げました。
人間も動物も、ただ生きているだけではありません。「こんなことがしたい」「こんなふうに暮らしたい」と思っているのではないでしょうか?
子どもたちに、「こんなふうに暮らしたい」ということを聞いてみました。例えば食べ物。自分が何か食べるとしたら、どんなものが食べたいかを聞いてみました。
「お肉」「ピザ」「うどん」など、たくさん食べたいものが出てきましたが、どうしてそれが食べたいか理由を聞くと、「好きだから」「美味しいから」という理由でした。
「寝るときはどんなところで寝たいかな?」という質問には、「床!冷たいから」「涼しいところがいい」という声が上がり、中には「冬はお兄ちゃんのお布団!」とかわいい意見もでました。
同じように、トイレや飲み水についても一緒に考えてみました。
「きれいなトイレがいい!」「5年生が学校のトイレをきれいに掃除してくれている」と答えてくれ、「きれいな水を飲みたいので、毎回水道から入れて飲みたい」と意見を聞かせてくれました。
では、このように美味しいものを食べたい、快適な場所で寝たい、きれいなトイレを使いたい、新鮮な水を飲みたいと思っているのは人間だけでしょうか?『こんなふうに暮らしたい』と思っているのは、動物も同じです。
子どもたちが自分たちの気持ちを考えることで、動物たちの気持ちへの共感が生まれます。
そこで次に2枚のパネルの絵を見てもらい、みんなで描かれている動物の気持ちを想像してもらいました。
「この犬はどんなことを思っているかな?人間の言葉を話せたら何て言っていると思いますか?」
「早く散歩に行きたい!」「早く走りたいよ!」「ありがとう」など、次々に答えてくれました。子どもたちの意見をまとめると、この犬の気持ちはハートマークで表すことができます。
続いて2枚目のパネルです。先程とは随分雰囲気が違いますね。
1枚目では気づいたことを挙手して答えてもらいましたが、今回は全員に配ったミニホワイトボードに、自分の考えを書いてもらいます。
挙手をしてみんなの前で自分の意見を述べるのが恥ずかしかったり、苦手な子どもにとっても、「書く」という方法をとおして自分の意見を表現することができます。たとえ発言しなかったとしても、自分の意見を板書してもらって、この授業に参加したという一体感はとても重要です。中には、ホワイトボードに書ききれないぐらいたくさんの意見を書いてくれた子どもいました。
このプログラムでは、Ⅰ〜Ⅲをとおして、こうしたアクティブラーニングの手法が随所に取り入れられています。
「ぼくだけさびしいよ」「かまってよ」「体もマットも洗ってほしいな」「こんなん飼い主じゃないよ」など、1枚目のパネルのときよりも、ずっとたくさんの意見が出てきました。
この犬の気持ちを想像してみると、先程のハートマークとは逆の涙マークですね。
人間にも嬉しいときや悲しいときがあるように、動物にもハートマークの気持ちのときもあれば、涙マークのときもあります。このように、「動物にも心がある」ということを理解していきます。
プログラムⅠ「私たちと動物との関わり【気づき】」
プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ【共感】」
と学習し、動物にも感情があり、人間と同じようにたったひとつの「いのち」を持っているということを学びました。
最終回のプログラムⅢでは、「動物のために私たちができること【責任】」について学びます。
次回が最後の授業になることを伝えると、子どもたちからは、「えー、次で最後?」「もっと聞きたい!」という声があがりました。(つづく)