令和4年度「老犬との暮らし方教室」(11月3日)

令和4年11月3日(木曜・祝日)、「老犬との暮らし方教室」を適正飼養アドバイザーの中塚圭子先生を講師にお迎えして開催しました。9組7頭の方々が参加され、「愛犬の老いを受け入れ、ほっこり暮らす心構えや工夫」を教わりました。


      中塚先生の愛犬ジー太君(18歳)  


「食欲にムラがある」「同じものを食べたがらない」という悩みごとのある食事については、「脳活もしながら楽しみましょう」ということで、「食器を替える」「道具などを使ってゲーム感覚で食べさせる」という方法について教わりました。食器を台に乗せて食べやすい高さにしてバランスを取ることも併せて教えていただきました。


ドッグフードについては、固形フードの場合、水を混ぜると水分も一緒に摂取できて腎臓の動きが悪くならないそうです。固形フードを食べることが困難になっていったら刻み食、ペースト状へと移行させると良いそうです。「食が細くなったと感じたら歯肉炎などが原因で食べられないこともあるので、歯の状態も見てあげてください」と先生が説明してくださいました。若齢期から歯磨きをするなど、口腔ケアが大切なのだと教わりました。

食後にお水を飲ませてあげると口がきれいになり、口臭予防になるそうです。また、「食事内容が犬の体に合わないと下痢をする場合があります。食欲がない場合は腸が動いているか、お腹がキュルキュルと鳴っているかなど、しっかり様子を観察することが大切です」と日頃からの観察力が大切であるというお話もしていただきました。

 

犬は人間と同様、高齢になると血液の流れが悪くなります。足先が冷たい状態などは心肺機能と関係し、免疫力の低下にも影響するため足先を温めるようにと「冷え対策」としてバスボムを紹介していただき、先生のお手本を基に皆さんもバスボムを作って清拭も体験しました。目的は「体の清潔を保つ」「炭酸ガスの効果で血行促進」「身体の観察」のほか、「お互いのコミュニケーション」です。



清拭をする前に「今から拭こうね」など声を掛け、犬に清拭をすることを伝えて了解と協力を得るのもコミュニケーションのひとつです。「終わったら『拭かせてくれてありがとう』『がんばったね』といった言葉とごほうびを忘れないでくださいね」と話してくださいました。

お風呂に入れる状態の犬を入浴させる場合は、なるべく負担が掛からないように重炭酸湯入浴だけで、シャンプーを使わない方法があることも教えていただきました。



足の調子の悪いわんちゃんにはマッサージのコツについても伝授してくださいました。


高齢犬のお悩みの一つである「排泄対策」、これは参加者のほとんどの方が持っているお悩みのようです。


防水マットやシーツ、おむつにおむつカバーなど実物を見せながら紹介してくださるので分かりやすく、実際に触れて感触を確かめることもできました。立ち上がることが難しいようなら、滑り止めのマットを使用すると立つことができて自分で動くようになることもあるようです。


また、歩行が困難になってきた老犬用に、便利な持ち手つきハーネスも紹介してくださいました。


「寝ていることが多くなったら、褥瘡に気をつけてください。1回できると治りにくいです。できやすい箇所にパットを当てるなどの工夫をすると良いですよ」というアドバイスもいただきました。また、ずっと横向きに寝ていると肺に負担が掛かるので、マットなどを間に挟んで起きる姿勢を取るなど、体位変換をして拘縮や褥瘡を予防することについても説明していただきました。


最後に先生は「シニアペットと暮らすには、自信をもって見守り、犬も人も仲間と楽しく過ごすことも大切です。仲間とは相談し合える利点があるので、仲間同士で愛犬を見守りましょう」と参加者の皆さんに伝えてくださり、「人も犬もみんなが通る老いの道です。感謝の心で見守る覚悟をもってください」と締めくくられました。



参加された方々より「老犬との生活の不安が少しやわらぎました」「高齢になるとトリミングを断られることもあるのでバスボムは利用したい」「学ぶことが多くてとても良かったです」といった感想を寄せていただきました。

今年度の「老犬との暮らし方教室」は今回で終了となりますが、来年度以降の開催が決まりましたらウェブサイトにてご案内させていただきます。