2026.02.13
令和7年度 セミナー「伴侶動物と暮らす人はなぜ健康なのか?」(1月24日)
神戸市中央区文化センターにおいて、谷口優先生を講師にお迎えし、「伴侶動物と暮らす人はなぜ健康なのか?」をテーマにセミナーを開催しました。

連日の寒波で開催が心配されましたが、当日は晴天に恵まれ、多くの方にご参加いただきました。高校生の姿も見られ、幅広い世代が関心を寄せていることが感じられました。

講演ではまず、「寿命」と「余命」の違いについてわかりやすい説明がありました。寿命は生まれてから亡くなるまでの期間、余命は今の年齢からあとどれくらい生きられるかを示すもので、65歳では女性が約25年、男性が約20年とされています。また、その中には健康に過ごせる「健康余命」と、介護が必要になる「不健康余命」があり、不健康余命は平均5~8年ほどあるとのことでした。その期間が長くなる人は認知症や転倒・骨折などが主な要因になるそうです。

続いて、伴侶動物と健康との関係について紹介がありました。特に犬と暮らす人は、そうでない人に比べて認知症のリスクが40%低くなるという研究結果が示されました。散歩やお世話によって自然と体を動かす機会が増えることや、地域の人との会話が生まれることで社会とのつながりが保たれ、孤立を防ぐ効果があるといいます。医療費には大きな差はないものの、介護にかかる費用は半分ほどに抑えられる傾向があるというデータも紹介されました。

一方で、高齢を理由にペットを迎えることを諦めてしまう方も多く、安心して飼育できる環境づくりの必要性についても触れられました。近年はペットと一緒に入居できる老人ホームが増えているほか、ペットと一緒に入院できる病院や、飼い主に万一のことがあった場合に備える「ペット信託」などの仕組も広がりつつあります。岡山市では獣医師会が治療費の一部を負担する制度や、NPOなどではペットの永年預かり制度というような高齢者にペットを預けるという形をとり、何かあればNPOが引き取るということを行なっているところもあり、高齢者がペットを迎えやすい環境づくりが進みつつあります。
しかしながら最近では、そもそも伴侶動物と暮らしたいと考える人自体が減少しているという指摘もあり、その影響で子どもが犬と触れあう機会が減り、「犬が嫌い」という子どもが増えているという話題にも触れられました。こうした状況を踏まえ、子どもが犬と触れ合える機会をつくることの重要性が、改めて強調されました。
その他にも腸内細菌に関する知見や、座りっぱなしが死亡リスクを高めるなど、とても興味深い内容が多く紹介されました。

講演の最後には、「飼いたいと思っている高齢者の背中を押してあげてほしい」という先生からの温かいメッセージと、イギリスのことわざが紹介され、会場は和やかな雰囲気に包まれました。

質疑応答では多くの質問が寄せられ、参加者からは「大変勉強になった」「データに基づいた話で理解が深まった」「ペットが人に与える良い影響を改めて知ることができた」などの感想が寄せられました。伴侶動物との暮らしについて考える、実りある時間となりました。

