令和6年度「いのちの教育」プログラムⅢ「動物のためにわたしたちができること」(1月27日 神戸市立真陽小学校)

1月27日(月曜)、神戸市立真陽小学校の3年生に、「いのちの教育」プログラムⅢ「動物のために私たちができること」(責任)を実施しました。
この日は宮崎県より「いのちの教育」プログラムを実施されている、みやざき動物愛護センターの先生方が2名見学に来られました。現在は、年間に50の小学校で実施されているそうです。

プログラムⅢ 「動物のために私たちができること」(責任)内容
・プログラムⅠ、Ⅱの振り返り
・動物のために私たちにできることを考える
・動物たちがよりよく生きるために私たちができること、動物たちが健康で幸せに暮らせるように人間が果たすべき「責任」について考える

最初にⅠとⅡの振り返りをしました。みんなで確認ができたら、プログラムⅢの内容について学んでいきます。
私たちの周りにいる動物たちが「さびしい気持ち」「悲しい気持ち」の💧(なみだマーク)の気持ちのまま生きるのではなく、❤(ハートマーク)の「うれしい気持ち」や「楽しい気持ち」で満たされるために、3つのすみかに住む動物に対して私たち人間ができることはどんなことかをみんなで一緒にパネルを見て考えます。

「ペット」に対して私たちができることとして、「ボールで遊んであげる」「新鮮なお水やエサを置いてあげる」「居る所をきれいにしてあげる」「一人にしないでみんなの所に呼んであげる」暗い部屋を明るくしてあげる」などたくさん意見を出してくれました。

「家畜」「野生動物」に関しては子どもたちにミニホワイトボードをひとりずつ渡し、自分の意見を書いてもらいます。プログラムⅡで子どもたちは自分の意見を書くことを経験しており、手をあげて発表をするのが苦手でも、書くことで意見をだしやすくなり、書いた意見を発表できるなど授業に一緒に参加したという実感をもつことができ、プログラムの中ではとても重要な手法であると位置づけています。
発表はホワイトボードにまとめた自分のとっておきの意見を立って発表してもらいます。

「家畜」に対してできることとして、「掃除をしてあげる」「水やエサをきれいなものに換える」「自由に食べられるように草を増やす」などの意見がありましたが、「その場所からきれいなところへ移動させる」という広い視野でとらえた意見も聞かれました。そして人間の役に立つものを与えてくれる家畜に「感謝して食べる」「いただきますやごちそうさまを言う」などの意見も出て、なんと全員が発表してくれました。

最後に「野生動物」に対して私たちができることを考えました。人間が世話をせず、自分の力で生きている野生動物については、パネルを見ても難しいという声が多く聞かれたので、動物に対してだけではなく、「自然に対しても何か私たちができることはないか」などヒントを出して考えてもらいます。真剣に取り組んでくれるので、ペンの走る音だけが聞こえてきます。

発表では「ポイ捨てをしない」「木をふやして、木の実などを減らさない」「みんなで協力して自然を守る」「自然に多くの人が入らないようにする」「地球温暖化を考えて自然を大切にする」などの意見がでました。自分たちを取り巻く「環境」についても思いを馳せることができるようになり、「地球温暖化」など、低学年の子どもたちからはなかなか出てこない表現もありました。

子どもたちと一緒に考えた「私たちが動物のためにできること」は、私たち人間が果たすべき「責任」であると言うことができます。この授業では、「責任」のことを「約束を守る」と言い換えており、「私たちと動物との約束」と子どもたちに伝えています。

最後に「今日から自分たちにできることを少しずつ行ってくださいね」と伝え、「家畜」のところで出た意見「感謝して食べる」「いただきますを言う」を例に、給食の時間に先生もみんなも一緒に早速できないかな?と聞くと、「できる!」と全員の元気な声を聞いて授業を終了しました。

「いのちの教育」プログラムは「気づき」「共感」「責任」がキーワードです。
この3つのプログラムは動物を通して「他者へ共感する感性と自他の生命を尊重する態度の育成」「思いやりや協調、道徳的心情などの豊かな人間性の基盤の構築」「社会的規範意識の醸成及び向上」という効果が期待されます。

人間だけでなく動物も生きている、動物にも心があることを学び、動物たちの気持ちについて考えるという、この3つのプログラムの授業を通して、自分以外の他の存在に気づき、他者の心を知り、共感や感情移入することで、関わる他に対して果たすべき責任がひとりひとりにあることなどを学ぶことのできるプログラムです。