令和6年度「獣医師の世界を体験しよう!」(人と関わりの深い動物・ヤギ)

9月8日(日曜)、神戸市北区・モモ動物病院の獣医師・池田綾香(あやこ)先生を講師にお迎えし、人と関わりの深い動物であるヤギをテーマに「獣医師の世界を体験しよう!」を開催しました。小学校高学年から大人の方まで、22名のご参加がありました。

池田先生は、ご自身がヤギを飼育されるようになってから、ヤギを診る獣医師が少ない現実を知り、勉強と並行して診療の経験を積まれ、現在、神戸市六甲山牧場や個人宅など、往診でヤギの診療にあたられています。

ヤギは動物園や観光牧場で展示されているだけでなく、ミルクや肉、皮や被毛などを私たち人間に与えてくれています。また、除草作業をしてくれることもあり、最近では家庭で飼育されるケースも増えているそうです。
こうべ動物共生センターがあるしあわせの村でも、今年の5月に除草作業に来てくれたヤギがいました。次回は9月下旬から再びしあわせの村に来てくれるそうで、池田先生はそのヤギたちの搬入にも携わっておられます。

ヤギの特徴の説明では、「ヤギの目はどれかな?」といったクイズを交えながら、楽しく解説してくださいました。
ヤギは草食動物で、自然界では肉食動物に食べられる側であるため、目は顔の横側にあり、広範囲にわたって見渡せるようになっています。

ヤギには上の前歯がなく、歯茎と下の歯を合わせて木の葉をむしり取ったり木の皮をはがしたりしています。奥歯は左右ともに上下に6本ずつありますが、抜けてしまうとすりつぶして食べることができなくなるため、草を細かく刻んで与える等の対処が必要だそうです。

ヤギの出産についてもお話を聞かせていただきました。
初めてのお産で子ヤギの育て方が分からずに育児ができない母ヤギがいたり、高齢になってくると立てなくなってお乳を与えられないことなどもあるそうです。そのような場合は、人工哺育で育てることになりますが、池田先生のご家庭では子ヤギがわんちゃんととても仲良くなり、元気に育ったそうです。

お話の後に、ヤギの診療で使用する器具についても見せていただきました。
ヤギの角が柵にからまったりしないよう、角のある個体は生まれて一週間以内に麻酔をかけて角になる細胞を焼く「除角」を行うそうですが、それに使用する器具や、伸びたヒヅメをカットするハサミを見せてくださいました。その他、お腹のガスを抜くためのホースや、実際に使用している薬剤などもご紹介いただきました。


今回のプログラムは、対象を大人にも広げたことでこれからヤギを飼おうと検討されている方などのご参加もあり、「大人も参加できるようにしてもらえて有難い」「飼う前にヤギのことを学ぶことができて良かった」という感想をいただきました。

こうべ動物共生センターの「獣医師の世界を体験しよう!」は、今後も野生動物や小動物(犬や猫、爬虫類・両生類など)、産業動物、大動物(馬)といったテーマで開催します。
皆さまのご参加をお待ちしています。

「獣医師の世界を体験しよう!」