令和6年度「犬猫を飼う前に知っておきたいこと」(8月24日)

8月24日(土曜)、神戸市教育会館において、「知ってると安心!犬を飼う前に知っておきたいこと」と「知ってると安心!猫を飼う前に知っておきたいこと」の2つのプログラムを開催しました。

犬や猫の引取りの理由で多いのは、高齢の飼い主の病気、入院、施設への入所、死亡等のほか、引越、飼ってからアレルギー症状が出たなどがあります。
また、こうべ動物共生センターには吠える、咬む、散歩で引っ張る、社会化不足のために怖がりで人に慣れない、などの相談が多く寄せられます。
このような哀しいことになってしまわないよう、犬や猫を飼う前に必要な知識や社会化、しつけの大切さについて学んでいただけるプログラムとなっています。

ペットを家庭に迎え入れる前に、このように専門家のアドバイスを聞いたり、今後も気軽に相談できると思っていただける場を設けることで、より一層市民の皆様が犬や猫と幸せに暮らせる機会となればと思います。

講師は、こうべ動物共生センターの適正飼養アドバイザーを務めていただいている獣医師・近藤悦子先生です。


【犬について知っておきたいこと】
犬は社会性が高いといわれますが、コミュニケーションの方法は人間と犬では違います。
犬のボディランゲージや特性を理解し、犬のニーズ(必要なもの)を満たすことが、犬と共に暮らす上ではとても重要です。

近藤先生のお話の中で、犬種特性についても教えていただきました。
例えば、人気の高い小型犬のミニチュア・ダックスフンドは、明るく活発ですが、元々はアナグマ狩りをする猟犬ですので、地面の穴に住むアナグマを追って吠えて知らせるという狩りのスタイルがあります。
吠えることはダックスフンドにとっては重要なお仕事ですが、共に暮らす人間にとっては困った行動となり、「無駄吠えで困っています」という相談が飼い主さんから寄せられることもあります。
個体差はありますが、犬種特性を予め理解しておくと、これから犬を飼う場合に、自分の家庭に合った犬かどうかを考える際の参考になります。

【猫について知っておきたいこと】
家の外に自由に出入りする飼い方ではなく、交通事故や猫同士のケンカ、感染症のリスク、予期せぬ繁殖等を考慮し、屋内飼育が主流となってきています。

飼育環境を工夫し、猫にとって快適な環境づくりをすることで、猫を外に出さずに飼育することが可能です。
例えば、キャットタワーや棚など高さのある空間があれば上下運動が可能となり、毎日おもちゃでしっかり遊んで捕食行動に真似た遊びをさせることで、狩猟本能を満たすことができます。

<社会化としつけの重要性>
社会性のある犬や猫に育てるために、様々な経験を積み重ねる社会化は、人間社会のルールを学びながら飼い主と共に幸せに暮らすためにはとても大切なことです。
特に「社会化期」と呼ばれる時期は、人や他の動物との関わりを通して様々なことを経験させることが大切です。あまり早期に親きょうだいと引き離すと問題行動に発展する可能性もあり、生後8週齢までは親きょうだいと共に暮らすことが良いとされています。

また、しつけの重要性についても先生からお話しいただきました。しつけを日々適切に行うことで多くのトラブルを避けることができ、また万が一飼い主が飼えなくなった場合でも、新しい飼い主の元でも楽しく幸せに暮らしていくことも可能になります。犬猫ともに、病院に連れて行くときや災害時などを想定して、クレートやキャリーに日頃から慣らしておくと、いざというときに役に立ちます。

<入手方法>
こうべ動物共生センターのような自治体の施設や、民間の動物保護団体、ブリーターやペットショップ、補助犬の引退犬やキャリアチェンジした犬など、さまざまな選択肢があります。どこから迎えるかは、ご家族とよく相談していただければと思います。
インターネットのブリーダー紹介サイト等で、条件をよく確認しないまま入手してトラブルになったという相談が、国民生活センター等に寄せられています。ブリーダーやペットショップから購入する際には、現地でしっかりと説明を聞き、子犬や子猫の飼育環境を確認するようにしましょう。生後56日を経過しない犬猫の販売・引渡し・展示は禁止されています。
 
ウェブ版 国民生活2022年6月号(No.118)「特集 ペットと暮らす」(P1~12)
https://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/wko/wko-202206.pdf
 

<動物愛護管理法(動物の愛護および管理に関する法律)等の法令>
動物愛護管理法の規定では、ブリーダーやペットショップのような動物の販売業者は、動物取扱業の登録が必要とされており、犬猫の販売業者に対して犬猫にマイクロチップを装着することを義務づけています。犬猫を販売業者から購入した際には、所有者の情報を新たな飼い主の情報に変更する必要があります。マイクロチップは、専用のリーダー(読み取り機)をかさずことで番号を読み取ることができます。読み取った番号から飼い主を特定することができますので、災害時や逃走したときの飼い主特定に役に立ちます。
今回は、犬の模型に埋め込まれているマイクロチップの読み取りデモンストレーションも行いました。

また、犬については、狂犬病予防法で義務づけられている「鑑札」の⽝への装着、所有する⽝の毎年1 回狂⽝病予防注射の接種と「注射済票」の装着についてお伝えしました。


今回のプログラムでは、ワークシートを活用し、参加者の皆さんに、「なぜ、犬や猫と共に暮らしたいのか」「犬や猫とどんな暮らしがしたいか」「自分の家庭にはどんな犬や猫が合っているか」といったことについて考えていただきました。
このワークシートが、ご家族で犬や猫を飼うことについて改めて話し合う材料になれば幸いです。
このワークシートの裏面は、環境省発行の動物の「5つの自由」に関する資料を参考に、犬や猫のニーズを書き込める仕様になっています。こちらも是非ご家族で考えていただければと思います。

犬のニーズを考えるワークシートのダウンロードはこちら

猫のニーズを考えるワークシートのダウンロードはこちら

参加者アンケートでは、「犬を飼う前の心構えができました」「犬種の特性もくわしく知りたかったので楽しかったです」「猫のしっぽによる感情表現で知らないことがあって勉強になりました」「猫もいいと思った」というような感想があり、今回のプログラムで新たな気づきや学びを感じとっていただけたようです。

こうべ動物共生センターでは、毎月第1金曜日の午後、電話による問題行動相談の日を設け、近藤先生にご担当いただいております。また、月に2回来所による相談日を設け、事前予約制でしつけの相談をお受けしています。

犬や猫を飼い始めてからお困りごとなどが出てきたら、当センターまで気軽にご相談ください。

次回の開催日程・場所が決まりましたら、こうべ動物共生センターウェブサイト内でご案内いたしますので、皆さまのご参加をお待ちしております。

「犬猫を飼う前に知っておきたいこと」