2024.02.24

令和5年度「来所相談」(2月)

実施実績:2月14日(水曜)1件

相談犬種:カネコルソ(2歳)

     グレートデン(6ヶ月)

「しつけの相談をしたい/2頭ともメス/他犬に興奮してとびつくことがある」

生活していくうえでは特に大きな問題はないが、2頭とも大型犬で力が強いため、じゃれたつもりでも何かあれば心配だとのことで相談にお越しになりました。

まず、「座る」「待つ」「呼んだら来る」という基本的なしつけをきちんとするようにと助言させていただきました。

散歩時においても犬の好きなようにさせず、一緒にゆっくりでいいので横について歩けるようにし、飼い主の指示をしっかり聞けて制御できる状態にするためには、日頃からのトレーニングが重要です。犬の都合に合わせるのではなく、飼い主の指示をしっかりと聞くことができるよう、おやつやおもちゃを使用しながら「呼んだらいつでもすぐに来る」、という呼び戻しや、呼んでやってきたら「マテ」の指示でその場で座って待つことができるように、日々の生活のなかで何度も繰り返しトレーニングを行うようにとお伝えしました。

どのような状況下でも、飼い主の指示に従える素地を作っておくことは、犬と一緒に生活していく上でとても大切です。

おもちゃなども出しっぱなしにしたり次々に新しいものを与えたりせず、遊んだ後は片付けて、しつけのご褒美や一緒に遊ぶときなどに出して使用することで、飼い主にも集中することができるとお話しました。

犬がすぐに指示をきかないからと飼い主が面倒がらず、犬が要求しても都合の良いときだけ思い通りになると思わせないように、根気よくトレーニングを続けることが大切ですと併せて助言させていただきました。

遠方から相談にお越しになられたため、もしお近くにしつけ教室などがあれば続けて通われるのも良いのではないでしょうかとアドバイスさせていただきました。

 左:グレートデーン    右:カネコルソ

<あまり日本では知られていないカネコルソ、体高は雄64~68cm、雌60~64cm、体重は雄雌ともに40~45kgになる大型犬。

この犬種の原産国はイタリアです。直接の祖先は古代ローマのモロシア犬で、犬種名は「農家の保護や守護をする者」を意味するラテン語の「cohors」が由来。過去には狩猟、農場での働き、財産の警備、さらには戦いへの参加など、さまざまな役割のために飼育されていましたが、近年は南イタリアで普及しているそうで、愛玩犬・番犬・家畜の保護犬として飼われることが多いようです。性格は家族に対して愛情深く、優しい性格をしており家族と一緒にいることを好みます。

攻撃的になることは少ないですが、家族以外には警戒心が強く、頭の良い犬種なので、しっかりとしたとレーニングが必要になります>

実施実績:2月24日(土曜) 3件

相談犬種: マルチーズ (1歳11ヶ月メス)/MIX(ウェスティ×マルチーズ)(6歳7ヶ月メス)/マルチーズ(7ヶ月オス)

【マルチーズ 1歳11ヶ月メス】

「自分の脚を舐める頻度が多くなっている」「獣医さんからは皮膚はそんなに荒れてないからまだ様子を見てくださいとのことで、薬などは塗っていないが痒くて舐めているのかストレスで舐めているのかがわからない」「特に留守番中舐めるということではなく、飼い主が帰ってきてソファーにいる時にしきりに舐めることが多く、声をかけても無視をするので困っている。舐めている場所が赤くなっているので心配」とのご相談でした。

注意をすることでかまってもらえたと学習する場合もあるため、舐めた時にはかまい過ぎず、その場から離れるなど、犬にとって好ましくない反応を飼い主がしてみることを提案しました。

退屈で舐めている可能性も考えられるため、ボール遊びなど、犬が疲れる遊びやおやつを詰めたコング、知育玩具を与えて退屈しない工夫をしてみることも併せて提案させていただきました。

また、痒みが原因で舐めていることも考えられるため、トッピングで与えている野菜を一旦与えるのをやめて様子をみることも提案し、悪化するようであれば皮膚科認定医のいる動物病院を受診することもおすすめしました。

【MIX(ウェスティ×マルチーズ) 6歳7ヶ月 メス】

「ペットショップから生後7ヶ月頃の子犬を迎えたが、飼い主を本気で咬むことがあり困っている」「ペットショップではトリミング等はできているが、家では唸ったり咬もうとするためブラッシングなどの手入れや服を着せることができない。元々神経質な性質だったが、特に犬が3歳の頃に娘が産まれてからは、ケージの中、マッサージチェアの上、下駄箱の下や、食べ物を食べている時など、自分の縄張りに近づいただけで唸り、幼い娘は目が合っただけで何度か本気で咬まれている」「なるべく、娘を犬に近づけ無いように気を付けているが、マンションで室内飼いをしているため、完全に娘との隔離は難しく、犬も日々ストレスを感じていると思っている」「子犬の頃にしつけ教室に2年間通っていたため、基本的な指示は通る。今後、仲良く一緒に暮らしていくにはどうすれば良いか悩んでいる」とのご相談です。

犬の攻撃行動に移る過程や犬のボディランゲージによるストレスサインについてお話しし、普段から犬を刺激しないよう気をつけることや、唸ってから避けるのではなく唸る前の段階でごほうびを与えるなどして、「場所守り行動」をさせないように気をつけるようにおすすめしました。

安全確保できる時におやつ等をあげて犬との関係の改善を図ること良いと思うが、まだ幼い娘さんからフードを与えることは安全面からも注意が必要だということをお話しして、まずは犬が唸ることや咬む状況をつくらないことが大切だとお伝えしました。また、犬のストレスを発散させることが必要であることもお伝えしました。

【マルチーズ7ヶ月 オス】

保護犬として迎えられ一緒に暮らし始めて4ヶ月が経過、「家族(ご夫婦)を咬む」「興奮して吠える」「同居猫と犬が仲良くできずケンカに至る」という行動についてのご相談でした。

咬む行動が出るのは、フードやおやつを食べているときや空になった食器を片付けようとするとき、同居している猫のトイレの猫砂やティッシュペーパーなど食べてはいけないものを噛んでいて取り上げようとしたとき、ブラッシングや目薬の点眼時など健康面でのケアを行うとき、2匹いる同居猫とケンカになって家族が止めに入ったときということでした。

但し、トリミングサロンでは問題なくトリミングをしてもらうことができたそうです。

興奮して吠えるのは、インターフォンに対してだけでなく、ご家族が猫と接しているときや、犬が同居猫を遊びに誘い、猫パンチを返されたときで、そこから猫同士のケンカに発展し、猫が家族に八つ当たりをして咬むということにお困りとのことでした。

ご家族としては「猫のストレスは心配だが今後もずっと一緒に暮らしたい」と希望しておられます。現在のお困りごとに対して、「してほしくないことはさせない」というポイントをお伝えし、以下の4つのアドバイスをさせていただきました。

まずは、遊ぶつもりがケンカに発展し、果ては猫同士のケンカに至っており、さらに家族に八つ当たりをするという転嫁性攻撃行動に発展しているため、関係を悪化させないために、飼育スペースを分ける「平和な環境づくり」についてご提案しました。

すでに猫は2階にいる頻度が増えているそうですが、1階で過ごすときには犬も猫もフリーの状態であるため、犬にはフードやおやつを食べているときにクレートの中で過ごしてもらい、その間は猫が自由にリビングで過ごせるようにする等、完全な隔離が無理な場合は時間で区切って空間を使い分けるという対処方法になります。

次に「家庭内の物の管理」として、犬が口に入れたら困るものを届くところに置かず、物を口に入れることを防ぐという方法をお伝えしました。具体的な方法としては、猫砂の入っている猫用トイレは犬が侵入できないスペースに置いたり、柵で囲むなど設置場所や設置方法を工夫するというものです。ティッシュペーパー等も一切座卓には置かず、高いところに置くことをおすすめしました。

3つ目に、「体に触れる練習」についてアドバイスさせていただきました。

おやつを渡してしまうと犬の所有物となり守って咬もうとするので、飼い主が持った状態で食べさせながら少しずつ体に触れる、という方法です。ジャーキー類のようなものを飼い主が握ったまま食べさせるか、飼い主の片手をコングのような形にしてフードやおやつを入れ込み、食べて夢中になっている間に手で体に触れる練習を行います。
トリミングが必要な犬種ではありますが、いきなりブラシを体に当てることに抵抗を示すようであれば、トリミングサロンで常に短めにカットしてもらうという方法もあります。

最後に「投薬の検討」についてもお伝えしました。

興奮の度合いを下げるためには、まずはたっぷり散歩をして疲れさせるのが方法として挙げられますが、それでも改善できない場合には、興奮しやすく興奮状態が続いてブレーキがない状態に対して、脳のブレーキの役割を補う薬を使うことを検討した方が良い場合もあります。

今回は問題行動診療の専門家である獣医師の先生にご担当いただきましたので、今後の対応についても先を見通したアドバイスをしていただきました。

相談後、飼い主さんは、「今回のアドバイスをもとに実際に家庭でも「してほしくないことはさせない」という対応をがんばりたい」と仰っていました。

一度の来所相談で解決できない場合も、当センターでは飼い主の方とご相談しながら新たな解決への糸口を見つけられるよう、繰り返し飼い主の方と共に考えていきます。来所相談後の電話でのフォローアップもさせていただいております。

来所相談は、訓練士や愛玩動物飼養管理士等の有資格者が、皆さまのお困りごとに対して一頭一頭に合わせたアドバイスをさせていただきます。

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