令和5年度「教えて!介助犬」(2月17日)

認定特定非営利活動法人 兵庫介助犬協会の理事長・北澤さんを講師にお迎えして「教えて!介助犬」を開催しました。今回は、今、ユーザーさんと一緒に訓練しているわんちゃんも一緒にご参加くださいました。

講師 北澤さんとPR犬ココスちゃん

まず初めに、北澤さんが身体障害者補助犬の「盲導犬」「聴導犬」「介助犬」について、参加されたお子さんにもわかりやすく説明してくださいました。
「盲導犬」は目が見えない、見えにくい人に段差や曲がり角を知らせる等して、歩行のお手伝いをします。
「聴導犬」は耳が聞こえない、聞こえにくい人にインターフォンや電子レンジ、洗濯機、お風呂が沸いた音等を知らせます。
「介助犬」は手や足が不自由な人の落とした物を拾う等のお手伝いをします。

いずれも、人が生活をするために必要なことをサポートすると共に、補助犬との暮らしを通して社会とのつながりがより深くなるなどの効果もあります。

現在の日本国内の身体障害者補助犬実働頭数は、以下のホームページで公開されていますのでご参照ください(厚生労働省)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000165273.html

街を歩いていると、お店の入口やバスのドア等に「ほじょ犬マーク」のシールが貼られているのを見かけたことがあると思いますが、このマークは、「身体障害者補助犬法」の啓発のためのマークです。
「身体障害者補助犬法」において、公共の施設や交通機関はもちろん、デパートやスーパー、ホテル、レストランなどの民間施設は、身体障害のある方が身体障害者補助犬を同伴するのを受け入れる義務があると定められています。
こうべ動物共生センターにおいても、市民の方々へ身体障害者補助犬の普及啓発の一環として、この「ほじょ犬マーク」を活用しています。
北澤さんが「こうべ動物共生センターにも貼ってもらっていますが、是非、街の中でも探してみてください」と仰っていました。自分たちが暮らしている地域の「ほじょ犬マーク」を知ることで、補助犬が私たちの生活の中に関わりのある存在であることを実感することができます。

次に、ココスちゃんの介助動作のデモンストレーションを見せてもらいました。

手に力が入りづらい方は、鍵や小銭、カード等の小さな物を落としやすいそうです。

落としてしまった鍵をじっと見ているココスちゃん、ユーザーさんから「テイク(取って)」という合図があるまでは勝手に拾ったりしません。

これは、例えば薬や尖ったもの等、危険なものを何でもくわえて誤飲やケガなどの事故を防ぐために、ユーザーさんの合図があってから動くことをトレーニングされているからです。

車椅子とベッドを移乗するときにユーザーさんが転倒された場合は、家族など他の人の助けが必要になります。すぐそばに携帯電話がなくても、離れた場所にある携帯電話を介助犬が持ってきてくれることで助けを呼ぶことが可能になり、ひとりでも過ごしやすくなります。

汗をかきにくい人は熱中症になりやすいそうです。横になって休んでいるときなど、すぐに動けないときに介助犬が冷蔵庫の中の飲み物を取ってきてくれると水分補給ができます。介助犬が運びやすいよう、ペットボトルには紐が付けられています。

汗をかきにくい人は熱中症になりやすいそうです。横になって休んでいるときなど、すぐに動けないときに介助犬が冷蔵庫の中の飲み物を取ってきてくれると水分補給ができます。介助犬が運びやすいよう、ペットボトルには紐が付けられています。

デモンストレーションで見せていただいた介助動作のトレーニングは、ボール遊びやロープ状のおもちゃのひっぱり合い等、遊びの延長として行われているとのことでした。
例えば、ボールをくわえて人に渡すとまた投げてもらえたり転がしてもらえたりして犬にとって楽しい遊びが続くことになるので、「落としたものを拾う」「携帯電話を持ってくる」という介助動作は、遊びで使うボールが「鍵」「小銭」「カード」「携帯電話」等に置き換わったと考えることができるため、「厳しい訓練をしているのではないのですよ」と北澤さんがお話ししてくださいました。
また、ロープのひっぱり合い遊びの延長が、「冷蔵庫を開ける」「靴を脱がせる」「車椅子を引く」等の介助動作につながるため、トレーニングに使用する冷蔵庫や車椅子には紐やロープが取り付けられています。

参加された方から「絵本で見た聴導犬は小型犬が描かれていたのですが、介助犬は大きい犬が多いのでしょうか」という質問がありました。北澤さんは「体の大きさが必要とされない聴導犬は小型犬でも活躍できますが、介助犬は力の強さが必要とされる介助動作が多いため、ラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバー等の大型犬がほとんどですね」と説明してくださいました。

また、合同訓練中のユーザーさんと介助犬の写真は掲載できないルールがあるため、写真でのご紹介はできませんが、「どのように啓発活動をされているのかがわかって良い経験になりました」「今後も機会があれば参加したい」とお声を寄せていただきました。

次回は3月20日(水曜・祝日)開催予定です。

皆様のご参加をお待ちしております。

「教えて!介助犬」