令和5年度 獣医師体験プログラム「感染症って何?」(11月23日)

講師 笹井和美先生

大阪公立大学 獣医学研究科 獣医内科学研究グループの笹井和美先生を講師にお招きし、「感染症って何?」と題してお話をしていただきました。

一見難しそうなテーマにも関わらず、小学1年生から中学1年生まで幅広い学年の子どもたちが参加してくれました。新型コロナウイルスの感染拡大も経験してきたので、きっと子どもたちにとっても身近な内容だったのではないかと思います。

感染症の一つでもあるインフルエンザを例に出して、先生のお話がスタートしました。
インフルエンザは、インフルエンザにかかった人がせきやくしゃみに出すウイルスのほか、感染した人が触れたドアノブやつり革に付いたウイルスからも、感染することがあります。そのため、感染者が増えると、学級閉鎖や学校全体を休校にして、他の人に移らないようにすることが必要ということも説明していただきました。
また、日頃から好き嫌いなくご飯を食べて、よく寝て規則正しい生活を送り、適度に運動をすることでウイルスに感染しにくくするための免疫力や抵抗力が向上するそうです。まずは、感染しにくい元気な身体を作るということが大切とのこと。

感染症を予防するワクチン接種には、「はしか」のように一度免疫がつけば効果が期待できるものや、「インフルエンザ」のように毎年変化する型に合わせて打たなければ効果がないもの、あるいはワクチンそのものがまだ無いもの、ワクチンがあっても効きにくいものなどがあることをお話ししてくださいました。
また、これまでに発見されていないウイルスもあるので、ワクチンができたからといって安心できません。

感染症の原因となる病原体には、寄生虫や細菌、カビやウイルスなど様々なものがあり、身体に入ることで病気を起こすものや、人体には影響がないものがあります。また、人間には症状が出るが動物には出ないものもあり、その逆もあるということです。
感染症の原因になる病原体がとても小さいことを、髪の毛の断面や花粉、ホコリなどの大きさと比較しながら説明をしてくださり、子どもたちは、普段、目にすることができない大きさの病原体について、興味深く耳を傾けていました。

感染症を媒介する蚊やダニのお話の中で、血を吸って大きくなるダニの写真に見入る姿も見られました。

質問の時間には、子どもたちから「獣医師になるための勉強について」や、「ウイルスはどれぐらいの時間で広がるのか」などの質問があり、子どもたちのそれぞれの関心の深さが垣間見られました。学校生活の中でも、特にコロナ禍では子どもたちの生活にも大きな影響がありましたので、専門家に聞いてみたかったことがたくさんあったのではないかと思います。

次に、8つの病気を例に挙げて、どれが「感染症(うつる病気)」であるかを考えてもらいました。
感染症には人から人にうつるもの、動物から人にうつるものなどがあり、動物からだけでなく人から動物にうつることもあるというお話もありました。人と動物のどちらにもうつる感染症のことを「共通感染症」といいますが、例えば、狂犬病は「犬」という漢字が病名に付いていますが、犬だけでなく全ての哺乳類が感染する可能性があるそうです。狂犬病は潜伏期間を過ぎて発病した場合は死に至る病ですので、予防をして感染しないようにすることが大切だということです。

参加した子どもたちからは、「ワクチンやインフルエンザのことがよくわかった」「動物だけでなく、人間のことも同時に教えてくれたのでわかりやすかった」「ダニが血を吸って大きくなるのが面白かった」「犬の病気が怖いです」「感染症は動物から人だけでなく、人から動物にもうつることを知った」といった感想が寄せられました。

獣医師体験プログラムは、様々な現場でご活躍の獣医師の先生に講師をお願いし、幅広い獣医師の世界を知っていただける内容となっております。皆様のご参加お待ちしております。
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