2023.09.28
令和5年度「いのちの教育」プログラム プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ」(9月28日 神戸市立真陽小学校)
9月28日(木曜)、神戸市立真陽小学校の3年生2クラス合同で、「いのちの教育」プログラム・プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ(共感)」を実施させていただきました。
「いのちの教育」プログラムは、プログラムⅠ~Ⅲの3つのプログラムで構成されていますが、次のプログラムに入るいずれの回でも、前回の内容のふりかえりを行います。
プログラムⅠの実施内容については、前回の実施レポートをご参照ください。
https://kobe-chai.jp/2023/09/inotinokyouiku230705sinyousyougakkou/
さて、いよいよプログラムⅡの始まりです。
最初に、子どもたちに「自分は生きていると思う人?」と質問してみました。こんな質問をされることは普段ないと思いますので、子どもたちは、「え?なんて?」という反応でしたが、周りの友達と顔を見合わせながら、全員が元気に手を挙げてくれました。
続いて、「どうして自分は生きていると言えるのかを教えてください」と質問すると、「心臓が動いてる!」「寝て起きる!」「食べる」「動いて、走れる」など、次々にたくさん意見が出てきました。普段当たり前に行っていることですが、これらは生きているからこそできることなので、私たちは生きているんだという「生きている証拠」と言えます。
今回は、そんな「生きている証拠」の中から、「心臓が動いている」ということを実際に音を聴き比べてみることにしました。
今回用意したのは、聴診器を胸に当てたときに聞こえる心臓の音を、スピーカーを通して聞くことができる拡張心音計という機械です。初めて見る機械に、子どもたちからは「自分の心臓の音が聞けるの?」「初めて!」と歓声があがります。
まずはスタッフの心臓の音がスピーカーから聞こえる様子を確認しますが、ここで子どもたちと約束です。「お友達の心臓の音を聞いているときは、しゃべらない。笑わない。静かに聞きましょう。そして、後で何か気づいたことがあれば発表してください」と伝えました。しゃべると心臓の音は聞こえません。耳を澄ませて、何か違っていることがないかを聞き比べてもらいます。
クラス毎に分かれて、子どもたち一人ひとりの心臓の音を聞き比べます。
全員の音を聞き終わった後、子どもたちは「音の大きさが違う!」「速さが違った!」「○○さんと同じだった!」「リズムがあった」など、気づいたことを発表してくれました。
この体験をとおして、全員、顔が違ったり背の高さが違ったりするように、一人ひとりが違う人間で、心臓の音も違うということに気づきます。
一人ひとり違う人間だから、心臓の音=「いのちの音」も全員違います。自分が持っている「いのち」は世界でたったひとつのもので、人間だけが「いのち」を持っているのではなく、動物も同じようにそれぞれにたったひとつの「いのち」を持っているということに気づきます。
人間も動物も、ただ生きているだけではありません。「こんなことがしたい」「こんなふうに暮らしたい」と思っていないかな?と子どもたちに投げかけてみました。まずは食べ物。「もしご飯を食べるとしたら、どんなものが食べたいですか?」と聞いてみました。
「チキン」「カレー」など、次々に手が挙がります。どうしてそれが食べたいのか理由を聞いてみると、「好きだから」「美味しいから」カレーについては「スパイスがいっぱい入ってて栄養があるから」という理由でした。中には「昆虫食」という回答があり、聞くとおせんべいなど加工されて販売されているのも食べたと話してくれ、時代はすすんでいると感じました。
次に、寝るときはどんなところで寝たいかを聞いてみました。「冷たくて気持ちが良いから床の上!」「涼しいところがいい」「冬は毛布や布団で、ふかふかなところで寝たい!」という意見がでました。
同じように、トイレを使うには「きれいなトイレがいい!」「高学年の人が学校のトイレをきれいに掃除してくれている」と答えてくれて、飲み水についても「きれいな水を飲みたい。毎回入れ替える」という意見を聞かせてくれました。
食べ物や寝床など、お腹がいっぱいになれば何でも良いというわけではありませんし、寝床も快適で清潔な場所で寝たいという望みがあります。
では、このように美味しいものを食べたい、快適な場所で寝たい、きれいなトイレを使いたい、新鮮な水を飲みたいと思っているのは人間だけでしょうか?
『こんなふうに暮らしたい』という気持ちを持っているのは、動物も同じです。子どもたちが自分たちの気持ちを考えることで、動物たちへの共感が生まれます。
そこで、次に2枚のパネルの絵を見てもらい、イラストで描かれているそれぞれの動物の気持ちを想像してもらいました。
1枚目のパネルは、飼い主と一緒に玄関先で散歩に行こうとしているイラストです。
「この犬は、もし人間の言葉を話せたら何て言っていると思いますか?」と投げかけると、「早く散歩に行きたい!」「早く走りたいよ!」「うれしいな」など、次々に答えてくれました。子どもたちの意見をまとめると、この犬の気持ちはハートマークで表すことができます。
続いて2枚目のパネルです。先程とは随分雰囲気が違います。
1枚目では気づいたことを挙手して答えてもらいましたが、今回は全員に配ったミニホワイトボードに、自分の考えを書いてもらいました。
挙手をしてみんなの前で自分の意見を述べるのが恥ずかしかったり、苦手な子どもにとっても、「書く」という方法をとおして自分の意見を表現することができます。たとえ発言しなかったとしても、自分の意見を板書してもらって、この授業に参加したという一体感はとても重要です。中には、ホワイトボードに書ききれないぐらいたくさんの意見を書いてくれた子どもいました。
このプログラムでは、Ⅰ〜Ⅲをとおして、こうしたアクティブラーニングの手法が随所に取り入れられています
「さびしいよ」「お風呂に入ってきれいになりたいな」「なんで飼ったん?」「お水をください」「飼育環境がひどい!」など、1枚目のパネルのときよりも、ずっとたくさんの意見が出てきましたが、このときの犬の気持ちをマークで表すとすれば、先程とは違って涙マークであると言えます。
人間にも嬉しいときや悲しいときがあるように、動物にもハートマークの気持ちのときもあれば、涙マークのときもあります。このように、「動物にも心がある」ということを理解していきます。
全員で大きな声で「動物にも心がある」と呼んでプログラムⅡを終了しました。
プログラムⅠ「私たちと動物との関わり(気づき)」
プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ(共感)」
と学習し、動物にも感情があり、人間と同じようにたったひとつの「いのち」を持っているということを学びました。
最終回のプログラムⅢは、「動物のために私たちができること(責任)」で締めくくります。
次回が最後の授業になることを伝えると、子どもたちからは、「えー、次で最後?」「今度いつ?」という声があがりました。
また元気な子どもたちに会えることを楽しみにして、11月にラストを迎えます。