わんちゃん読書会(R.E.A.D.プログラム)における研究について
こうべ動物共生センターでは、国内外の専門家によるセラピー研究フィールドを設置して、科学的影響の調査・研究を行っています。
セラピー研究フィールドについては、こちらから。
「わんちゃん読書会(R.E.A.Dプログラム)」は、令和4年7月28日付で、神戸市保健事業に係る研究倫理審査委員会の承認を受け、正式に神戸市の研究事業として認められました 。
調査・研究の成果は、個人情報に配慮した上で、当サイト上で提供し、市民の皆様への利便を図ると共に、国内外へ情報発信します。
実施においては、事業に参加する動物にはなるべくストレスがかからないように配慮し、IAHAIO(International Association of Human-Animal Interaction Organizations)の「IAHAIO 白書(IAHAIO White Paper)」に沿って行います。
実施にあたっては、JAHA公益社団法人日本動物病院協会の訪問活動にボランティア参加をしている飼い主様とわんちゃんたちにご協力いただいています。
このプログラムでは、「ひとりで読む」「犬に対して読む」「人に対して読む」の3パターンで音読しているお子さんの様子を動画で撮影させていただき、株式会社シーエーシー様が技術提供をしてくださっている感情分析ソフト「心 sensor」を使ったデータ分析やアンケート調査などを用いて、認知機能・精神状態に与える影響の実証的検証行っています 。
また、わんちゃんたちに対してはウェアラブルデバイスのペットバイタルセンサー装着による心拍計測、および唾液採取による自律神経活動指標の評価と、参加中の様子のビデオ撮影を行い、行動からストレス反応の評価を行っています。
このように人の側からと犬の側からの研究を同時に行い、人と犬相互の科学的影響を調査・研究しています。
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〇わんちゃん読書会(R.E.A.D.プログラム)における子どもへの影響を検証する研究
長岡技術科学大学 技学研究院 情報・経営システム系 准教授 土居裕和先生による研究
研究課題名:「動物介在療法R.E.A.D. が学童の認知機能・精神状態に与える影響の実証的検証」
■ 研究の手法について
お子様には、対動物条件、対人条件、統制条件の3条件での計測に参加していただく。計測に参加する前のタイミングで、背景情報(年齢、性別など)に関する質問紙に回答していただく。各条件での実施内容は以下のとおり。
絵本の読み聞かせを「ひとりで読む」「犬に対して読む」「人に対して読む」各10 分ずつ行っていただく。その間の顔動画を撮影させていただく。また、読み聞かせ中の朗読音声を収録させていただく。また簡易なアンケート調査* により、読み聞かせ後の気分を評価させていただく。
〔対動物条件・犬に対して読む〕
マットや毛布を敷いてスペースを作り、そこに研究対象者は犬と一緒に座って本を読んでいただく。
〔対人条件・人に対して読む〕
こうべ動物共生センターのスタッフ1名に対して、絵本の読み聞かせを行ってもらう。
〔統制条件・ひとりで読む〕
一人で、音読を行っていただく。
* アンケート調査内容:スペンス児童用不安尺度(SCAS)
SCASはDSM-Ⅳ-TRに基づいて作成された子どもの不安症を6つの下位尺度で評価できる検査である。
①SCASは子どもの不安症を測定する目的で開発された自己記入式の質問紙である。子どもの不安症は、児童の心理的問題の中で最もよく見られるものとされていて、6~12ヵ月の有病率は10%前後もあると考えられている。
②DSM-Ⅳ-TRに基づいて作成されており、不安障害全体の程度に加えて、分離不安障害、社交不安障害、強迫性障害、パニック障害、全般性不安障害、外傷恐怖(限局性恐怖症)の6つの下位尺度を備えている。
③回答は「いつもそうだ」から「ぜんぜんない」までの4段階評価である。質問項目は児童にもわかるように平易であり、難しい漢字には振り仮名がつけられている。
④標準化が行われ、小学3年生から中学3年生を対象に使用できることが確認されている。
DSM:アメリカ精神医学会が発行する精神疾患の診断・統計マニュアル
土居裕和先生による研究の、令和4年度の研究報告はこちら。
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〇わんちゃん読書会(R.E.A.D.プログラム)における犬への影響を検証する研究
大阪公立大学 獣医学部 小動物臨床医学 准教授 島村俊介先生による研究
■ 研究の内容
生体は外的刺激、いわゆるストレスを受けると恒常性を維持するための反応が見られる。R.E.A.D.プログラムに参加するイヌにおいても、「本の読み聞かせ」以外の様々なストレスが加わることになるため、外的刺激の最小化、あるいは標準化を行い、目的の「本の読み聞かせ」に対する反応を抽出することが重要となる。
今回の研究では、参加するイヌにかかるストレスの評価を目的として、そのストレス反応の基準設定、及び新奇環境刺激への馴化の評価を行った上で、 R.E.A.D.プログラムがイヌに与える影響について検証していく。
〔評価指標〕
今回、プログラムが実施される中で、参加するイヌたちに協力してもらい、以下の指標を評価する。
〔自律神経活動指標〕
参加するイヌの心電情報から自律神経活動指標の推移を評価する。
収集方法:イヌにウェアラブルデバイスを装着してもらう。
収集期間:プロブラム参加前から参加後まで継続して心電情報を収集する。
解析方法:収集した心電情報から解析アルゴリズムを用いて指標を算出する。
■ 研究の内容
生体は外的刺激、いわゆるストレスを受けると恒常性を維持するための反応が見られる。R.E.A.D.プログラムに参加するイヌにおいても、「本の読み聞かせ」以外の様々なストレスが加わることになるため、外的刺激の最小化、あるいは標準化を行い、目的の「本の読み聞かせ」に対する反応を抽出することが重要となる。
今回の研究では、参加するイヌにかかるストレスの評価を目的として、そのストレス反応の基準設定、及び新奇環境刺激への馴化の評価を行った上で、 R.E.A.D.プログラムがイヌに与える影響について検証していく。
〔評価指標〕
今回、プログラムが実施される中で、参加するイヌたちに協力してもらい、以下の指標を評価する。
〔自律神経活動指標〕
参加するイヌの心電情報から自律神経活動指標の推移を評価する。
収集方法:イヌにウェアラブルデバイスを装着してもらう。
収集期間:プロブラム参加前から参加後まで継続して心電情報を収集する。
解析方法:収集した心電情報から解析アルゴリズムを用いて指標を算出する。
〔生理的指標〕
プログラム参加前後の唾液中のオキシトシンとバソプレッシン濃度を測定する。
収集方法:唾液サンプルは専用の唾液回収用キットを使用する。
測定方法:ELISA 法により測定する。
〔行動的指標〕
参加するイヌの行動からストレス反応を評価する。
収集方法:参加中のイヌの様子をビデオ録画する。
撮影期間:R.E.A.D.プログラム実施中
解析方法:撮影動画からイヌの表情や行動を検証し、ストレス反応をスコア化する。
島村俊介先生による研究の、令和4年度の研究報告はこちら。
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わんちゃん読書会(R.E.A.D.プログラム)を実施している、こうべ動物共生センターのふれあい室には、絵本と動物関連の書籍を置いています。
プログラムなどで部屋を使っていない日には、部屋を開放しております。
開放時間:10:00~16:00 /休館日:火曜日・年末年始
R.E.A.D.プログラムに関する書籍も置いてあります。
わんちゃん読書会の実施ついては以下のリンクからご覧ください。
【参考】
『R.E.A.D. (Reading Education Assistance Dogs)プログラムについて』
キャシー・クロッツ氏 インターマウンテン・セラピーアニマルズ 常務取締役(2005年当時) 講演記録(下記記録集 p.14)
2005年7月10日 阪神・淡路大震災10周年記念事業 りぶ・らぶ・あにまるず 国際シンポジウム2005
『犬と拓く子ども達のコミュニケーション』
・りぶ・らぶ・あにまるず 国際シンポジウム2005 報告
・りぶ・らぶ・あにまるず 国際シンポジウム2005 記録集(PDF形式5.4MB)