令和4年度「和犬教室」(12月11日)

12月11日(日曜)、近藤悦子先生を講師にお招きして「和犬教室」を開催しました。「和犬教室」は、「自立心旺盛」「頑固」「警戒心が強い」という性格の特性を持った柴犬等の日本犬を対象としたしつけ方教室です。

今回は生後5~6ヶ月齢の2頭が参加してくれました。若いわんちゃんたちだったので、先生には子犬の「社会化期」にも触れていただきながら、犬のしつけが「人間社会で暮らすためのルールを犬に教えること」であるといったことや、共に暮らす上で犬のニーズを満たす必要があるという飼い方のアドバイス、ケアの仕方の実践など、盛りだくさんの内容を教えていただきました。

子犬が様々なことを経験・学習する「社会化期」と呼ばれる時期は、一般的に生後3週齢から16週齢(4ヶ月齢)と言われています。「社会化期」は、家の中だけでなく外に出て色々な人(大人や子ども、制服を着ている人、メガネをかけている人、大きな荷物を持って歩いている人等)に出会ったり、散歩で他の犬とにおいを嗅ぎ合って挨拶したり、様々な刺激を受けて社会性を身に付ける大切な時期です。しかし、「社会化期」が過ぎたからといって、もう何もしなくても良いわけではありません。このような様々な経験は、「社会化期」を過ぎてからも継続して積み重ねていく必要があり、犬が人間社会のルールを学びながら、飼い主さんと共に楽しく幸せに暮らすためにはとても大切なことです。

今回参加してくれたわんちゃんたちは、性格面で「やや怖がり」で「警戒心が強い」一面もありましたので、時間をかけて少しずつ刺激に慣れるように先生が工夫して進めてくださいました。まずは、今回初めて顔を合わせた人からおやつをもらいます。出会った人からおやつをもらうことで、「人の手はおいしいものを与えてくれる」「人の手は怖くない」「人に会うといいことがある」と学習し、人に対する警戒心を無くしていきます。

不安でしっぽは下がっていますが、おやつは食べることができました。


あまり慣れない空間で、知らない人も犬もいるので、椅子の下に潜って様子をうかがっています。このように、おやつを食べられるような状態でないときは、無理に近寄って仲良くなろうとせず、犬から近づいてくるまで待ってから、そっとおやつを差し出します。


初めての空間で少しずつ慣れてくるとしっぽは上がりましたが、顔はまだ不安そうです。

黒柴の「ももちゃん」は、まだ外でお散歩したことがないとのことだったので、先生にそばについていただきながら外を歩く練習を行いました。飼い主さんには、リードの持ち方・扱い方についても先生からアドバイスをいただきました。


初めての場所で経験する散歩のときには、草のにおいをクンクン嗅いでいます。この「におい嗅ぎ」は、他の犬のにおい等その場所にある情報を嗅いで確かめる行動でもありますが、犬が自分自身や相手を落ち着かせようとするときの行動(カーミングシグナル)の場合もあります。カーミングシグナルはボディランゲージの一種で、この「におい嗅ぎ」の他にも、「あくびをする」「目をそらす」「体を掻く」「体をブルブルする」等があり、「落ち着け、自分!」と自分に言い聞かせたり、相手に対して「敵意はありません」「落ち着いてください」と伝えたりしています。


「遊ぼっ!」と低い姿勢でご挨拶のポーズ、くれはちゃんがももちゃんを遊びに誘っています。
飼い主さんがリードを持ったまま、少し追いかけっこをして気分がほぐれると、今度はももちゃんの方からくれはちゃんを遊びに誘いました。興奮しすぎないように、そばで先生が見守ってくださいました。


このように、同じような月齢、年齢の犬同士で遊ぶ経験も子犬の成長には大切です。お互いが発するボディランゲージを読み合って、押したり引いたり、「ここまでならやっても大丈夫」と力加減を学んでいきます。先生からも、「同じような月齢、年齢のわんちゃんがいないときは、性格の穏やかな大人の犬が相手であれば上手に遊んでもらえますよ」とアドバイスをいただきました。


散歩の後は、室内に戻って講義の時間です。


一昔前は、飼い主と犬の関係を「犬が言うことをきかないのは飼い主を自分より下だと思っているからだ」「飼い主がボスになって犬に従わせないといけない」というような主従関係に例えられることが多くありました。現在は、「愛情ホルモン」「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」が、飼い主(人)と犬の相互のやりとり(見つめ合い・ふれあい)において双方に分泌が促進されることがわかり、幸せを感じることで絆が深まることが明らかになったことから、親子関係に例えられるようになりました。
犬のしつけにおいては、罰(体罰)を用いるのではなく、好ましい行動をほめてその行動が増えるように導いたり、人にとって嫌な行動(甘噛み等)は遊びを止めて無視する等して、その行動が減るように導くというやり方が主流になってきています。

最後は、おやつをもらいながら体を触られる練習や、ブラッシングの練習も行いました。一度に色々なところを触るのではなく、あごの下、前足、頭、耳、背中、後ろ足…等、少しずつ順番に触っていきます。全身を触られる練習ができていると、予防接種や体調を崩したときに受診する際、適切な処置・治療を受けることができます。また、ブラッシング等のお手入れを行うことで、日々の体調を把握することができます。


飼い主さんとたっぷり学んで、ウトウト気味のももちゃん。帰宅後は、ぐっすり眠れたかもしれませんね。


和犬教室の開催は今年度は終了しましたが、次回の開催が決まりましたらウェブサイトでご案内させていただきます。
和犬教室を担当していただいた近藤先生は、毎月1回第一金曜日に、こうべ動物共生センターにおいて「問題行動」に関する電話相談も担当してくださっています。問題行動でお困りの方は是非ご相談ください。