令和4年度「お散歩診談」(9月10日)

9月10日(土曜)、講師に渡辺ひろこ先生をお迎えして「お散歩診断 [座学]」を開催しました。普段のプログラムでは愛犬と一緒に散策を楽しみながら散歩時の困りごとにアドバイスをいただくのですが、座学は今回が初開催となります。4月、5月と雨で開催できなかったため、お天気の心配なく飼い主さんに学んでいただける機会を先生が設定してくださいました。今回は犬のボディランゲージに関する座学のため飼い主さんのみの参加とさせていただき、5名の方が資料をもとに熱心に学ばれました。



犬は、自分の体を使ってボディランゲージで自分の気持ちを表します。そのボディランゲージを理解できると、人と犬の相互にとってストレス軽減や危険回避等に役立ち、犬からの信頼を得られることにもつながります。しかし実際には、犬が気持ちを表現していても飼い主が読み取れていないというケースが非常に多いそうです。そこで今回は、「犬のボディランゲージ=犬の声」を読み取るコツについてわかりやすく解説していただきました。

まずは、尻尾の振り方や高さで「嬉しい」という気持ちを表現していることを知っている方が多くいますが、「自信」「興奮」「怒り」を表現していることや「不安なとき」も尻尾を振り「愛想笑い」でも振るとお聞きして、「え~!」と驚いている方もおられました。尻尾の高さは「上向き」「水平」「下向き」・「巻き込む」といったパターンで、犬が今どんな気持ちでいるかもわかると教わりました。尻尾だけでなく目、姿勢や耳の向きでも犬は多くのことを語っています。耳が「前向き」「横向き」「後ろ向き」という動きだけでなく、犬種によって立ち耳の犬と垂れ耳の犬の耳の動きの特徴についても動画を交えながら解説していただき、より一層理解が深まりました。あまり耳にしたことがない、「ストレススマイル」なるものについても教えていただきました。口が後ろまで開いてしわが入っているのがストレススマイルで、笑っているように見えますが、実はストレスを表現しているのです。参加された皆さんも大きく頷いておられました。

また、数秒間の動画を見て、尻尾や耳の動きからこの犬はどういう気持ちかを読み取る「読み取り練習」のコーナーもありました。「尻尾が立っていたのに急に下がった」「耳も立っていたのに横になった」等、わずかな間に犬が自身の体を使って自分の気持ちを表現している様子を何回も動画を巻き戻しながら丁寧に説明していただき、参加者の皆さんも動画を真剣に見ておられました。犬が発する瞬間の表現を見逃さず、犬の気持ちを理解して接することが信頼関係の構築につながるのだと実感しました。



次に、お散歩時の飼い犬の行動が「元気いっぱい!張り切りタイプ」「えっへん!自信満々タイプ」「怖いよ~不安タイプ」の大きく3つのタイプに分かれることも教わりました。

「元気いっぱい!張り切りタイプ」の犬の場合は「散歩の充実」がポイントだそうです。お散歩中にゲームを取り入れ、コミュニケーションを取りながらエネルギーを発散させます。例えば「名前を呼んだら振り向いてこちらへ来るか?来たら褒める!を何回か繰り返すゲーム」「階段を下りているときに呼んで止まれるか?」等、色々なゲームを飼い主さん独自で考えてみることも勧めてくださいました。


「えっへん!自信満々タイプ」の犬には「飼い主さんに意識を向ける」ことが重要だそうです。多くの方がお散歩中にリードを長く持たれているようで、適切なリードの長さは犬が飼い主さんの横の位置、ちょうど飼い主さんが手を伸ばしたところの位置で持つくらいで良いそうです。その長さで歩くコントロールの訓練ができるとのことでした。「外で一緒に遊んであげてください」というアドバイスもありました。

「怖いよ~不安タイプ」の犬には「大丈夫」という安心感を与えることが大切だと教わりました。お散歩中リードは短く持ち、他者(人や犬)が近づいて来て「怖いよ」というサインが見られたら、飼飼い主さんがその間に入って盾となり「私が守るよ!」と安全地帯を作ってあげる方法があります。引っ張る場合は「早くどこかへ行きたいよ」のサインであり、怖いときには強がりのポーズをすることもあるそうで、「弱みを見せると負け」という犬の世界があることも教えていただきました。


これらの3つのタイプに共通して言えることは、リードが長くて自由過ぎると犬がどうしていいかわからないという状態に陥るため、リードの長さや持つ位置を意識して「リード管理」を行い、横について歩く、呼んだら戻って来る等のルールを作り、苦手なものは回避して守ってあげることでコミュニケーションを取り、しっかり褒めることが必要であるということでした。

「ボディランゲージから犬の気持ちを読み取れると犬の不安や興奮が理解でき、安心してお互いにリラックスした状態で「大丈夫」「一緒に歩こう」という楽しい散歩に繋がります」と笑顔で締めくくっていただきました。

受講後に、参加者から「散歩中に自分の犬がどんなことを話しているのか、読み取るのが楽しみです!」という感想もお寄せいただきました。犬のボディランゲージを知ると、お散歩での困りごとの解消の糸口がみつかります。実際に散歩をしながらアドバイスをいただける「お散歩診断」は、秋も開催いたしますので、是非ご参加ください。


お散歩診断