令和4年度 獣医師体験プログラム「公務員としての獣医さんの仕事」(8月22日)

8月22日(月曜)、神戸市動物管理センターの大隈真矢先生を講師にお迎えして、「公務員としての獣医さんの仕事」について、お話をしていただきました。

獣医さんというと動物病院の先生というイメージがありますが、公務員としての獣医師の仕事は、「ペットショップのような動物を取り扱っているお店の立ち入り」「レストランや食品工場などへの立ち入り」など、お店がきちんと衛生的に営業されているかをチェックし、指導したりする仕事も含まれていて、多種多様です。今回は、神戸市動物管理センターでの仕事内容について詳しく聞かせていただきました。



神戸市動物管理センターでは、「迷子の犬猫の引取り、返還」「飼えなくなった犬猫の引取り」「負傷した動物の保護」などを行っています。

昨年、動物管理センターには209頭の犬猫が保護されました。そのうち犬は38頭、猫は171頭でしたが、猫については110頭ほどが小さな子猫だったそうです。

209頭保護されたうちの7頭が飼い主のもとに帰り、133頭が新しい飼い主に譲渡されたとのことです。



家庭で飼われている犬や猫が動物病院を受診した際には、飼い主からその犬猫たちの情報を得ることができますが、動物管理センターにやってくる犬猫たちは、どんな犬猫かという情報が無い場合がほとんどだそうです。

どんな性格なのか?健康面に問題はないのか?というようなことが不明であるため、動物管理センターに保護された場合は、最初に必ず検便や血液検査を行い、寄生虫はいないか、病気を持っていないか等を調べ、必要な場合は治療を行うそうです。性格面については日常の飼養管理を通して把握していくとのことでした。



次に、動物管理センターに保護された野犬の写真の紹介と共に、病気の症例と治療について説明をしていただきました。ヒゼンダニが体について体がかゆくなる疥癬(かいせん)、蚊に咬まれることで発症するフィラリア症、回虫や瓜実条虫、マンソン裂頭条虫等の寄生虫、結石症等などなど・・・。これらは主に薬や処方食での治療となりますが、骨折等や外傷がある場合には手術を行うこともあるそうです。




また、生まれて間もない子犬や子猫を保護した場合には、ミルクを飲ませて人工保育を行いますが、母犬のへその緒を通して感染する病気もあるため、成長していく中で貧血等の症状が出て病気がわかることもあるということでした。



そして、最後に、「犬や猫を飼う前には、本当に最後まで飼うことができるのかをしっかりと考えて貰いたい」と子どもたちに伝えてくださった大隈先生。「どんな世話が必要なのかしっかり考える」「一度、家族として迎えたのなら最後まで世話をする」という「責任」について子どもたちが考える機会となり、また、ペットショップやブリーダーから迎え入れるというだけではなく、「動物管理センター等から譲り受けることも一つの選択肢にしてもらえれば」ということもお話しいただきました。




獣医師体験プログラムは、様々な現場でご活躍の獣医師の先生に講師をお願いし、幅広い獣医師の世界を体験していただく内容となっております。今後も野生動物、小動物、大動物、産業動物等の分野ごとにテーマを設け、⼈と動物の共⽣というものが如何に⼈の⽣活に深く関わるものであるかということを獣医師の世界を通して学びます。

参加のご希望は下記のリンクよりご確認の上、お申し込みください。


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