令和4年度「いのちの教育」プログラム プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ」(7月14日神戸市立泉台小学校)

7月14日(木曜)、神戸市立泉台小学校の2年生2クラスの子どもたちに、「いのちの教育」プログラム プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ」の授業を実施しました。

「いのちの教育」プログラムは、プログラムⅠ~Ⅲの3つのプログラムで構成されており、今回の授業は前回のプログラムⅠ「私たちと動物の関わり」の続きのプログラムになります。


前回の授業の「ふりかえり」の中で、「人間と動物はつながっている!」という大切なキーワードを子どもたちと一緒に確認し合いました。



「街」で暮らし、人間が最後まで世話をする【ペット】との関わりの中で、私たち人間は「かわいい」「楽しい」「幸せな気持ちになる」という「癒しの気持ち」を感じることができます。
「牧場」で暮らす【家畜】からは、肉やミルク、卵や毛糸等の人間の役に立つものを与えてもらうことで、私たちは「健康」でいることができます。
「自然」の中で暮らし、自分たちの力で生きている【野生動物】は、一見、私たち人間とは関係が無いように見えますが、空気や水など、自然環境から受ける恩恵を共有しています。この空気と水をきれいに保つことで、お互いが「安心」して生きていけるのです。


この「ふりかえり」の重要性については、奈良県「いのちの教育」研究協議会においても指摘されており、「ふりかえり」を行うことによって長期的に子どもたちの記憶の中に学習効果が定着するそうです。 プログラムⅠの実施内容については、前回の実施レポートをご参照ください。 
「いのちの教育」プログラム プログラムⅠ「私たちと動物との関わり」(2022年6月9日 神戸市立泉台小学校)


「ふりかえり」で復習した後は、いよいよプログラムⅡの導入です。「自分は生きていると思う人はいるかな?」と尋ねると、全員の手が挙がったので「どうして自分は生きていると言えるのかな?」と質問しました。自分が生きていると思う理由を、子どもたちが「息をしている!」「心臓が動いている!」と答えてくれます。生きているからできることは「生きている証拠」だと言えます。いずれのクラスの子どもたちも、「生きている証拠」をたくさん考えてくれました。





子どもたちが挙げてくれた「生きている証拠」の中で、「心臓」が動いていることを一緒に確かめるため、「今日は特別なマシーンを持ってきました!」と拡張心音計を紹介しました。拡張心音計というのは、聴診器を心臓に当てたときに聞こえる心臓の音を、スピーカーを通して聞くことができる機械です。

心音に合わせてハートマークの部分が光ります


まずはスタッフの心臓の音を聞き、スピーカーから聞こえる様子を確認してから、2グループに分かれて子どもたちひとりひとりの心臓の音を聞き比べました。心臓の音を聞いている間は、声を出したり笑ったりせず、耳をすませて真剣に聞いています。





全員の心臓の音を聞き終わった後に、「音の大きさが違う!」「速さが違った!」「リズムがいろいろあった!」と子どもたちが気づいたことを発表してもらいました。
「同じ人間なのに、どうしてこんなに違うのかな?」というスタッフの問いかけに、「食べているものが違う」「体の大きさが違う」といった意見が出て、「ひとりひとりは違う人間なんだ」と気づきます。ひとりひとり違う人間だから、心臓の音=「いのちの音」もひとりひとり違うのです。自分の持っている「いのち」は世界でたったひとつのもの。そのたったひとつの「いのち」は、私たち人間だけが持っているものではなく、動物も同じように持っています。「動物も生きている」のです。



人間も動物も生きているなら、「こんなことがしたい」「こんなふうに暮らしたい」と思っているのではないでしょうか?まずは、子どもたちに自分が食べたいものについて尋ねました。「イクラ」「お肉」「野菜をサラダにして食べたい」「かき氷」「アイスクリーム」という意見が出ました。


「寝るときはどんなところで寝たいかな?」という質問には、「今は暑いから床の上が気持ちいい」「クーラーが効いていて涼しいところがいい」「冬はふかふかの布団で寝たい」という答えが返ってきました。


トイレや水についても想像してみました。「うんちやおしっこで汚れたままのトイレは嫌だな」「きれいなトイレがいい」「学校のトイレは5年生の人たちが掃除してくれている」と答えが返ってきました。「飲み水はきれいな水がいい」と意見を述べてくれた子もいました。


「『自分の好きなものやおいしいと感じるものを食べたい』『快適なところで寝たい』『清潔なトイレを使いたい』『きれいな水を飲みたい』といったように『こんなふうに暮らしたい』と思っているのは人間だけかな?」と子どもたちに問いかけると、「動物も思っている」と答えてくれました。きっと動物も「ああしたい」「こうしたい」という気持ちを持っているのではないかと想像できたのです。そこで、2枚のパネルの絵を見ながら、みんなでパネルに描かれている動物の気持ちを考えてみました。


まずは1枚目のパネルの絵を子どもたちに見てもらい、「この犬はどんなことを思っているかな?人間の言葉を話せたら何て言っているかな?」と絵に登場する犬の気持ちを想像してもらいます。



「早く散歩に行きたい!」「早く走りたいよ!」「お散歩に連れて行ってくれてありがとう!」

と次々に意見が出ました。子どもたちの意見をまとめて、この犬の気持ちをマークに例えると、ハートマークで表すことができます。



続いて2枚目のパネルの絵に登場する犬の気持ちを子どもたちに考えてもらいました。1枚目の絵は、直感的にわかる内容なので気づいたことを挙手して答えてもらいましたが、2枚目の絵は、細かい部分に注目する必要があり、ひとりでいくつもの考えが出ることが予想されるため、ミニホワイトボードに自分の考えを書いてもらいました。







子どもたちは実にたくさんの意見を書いてくれました。



ホワイトボードに自分の考えを書くという取り組みは、このプログラムⅡの中でとても重要な意味を持っています。挙手をしてみんなの前で自分の意見を述べるのが恥ずかしい子どもにとっても、自分の意見を言語化できる方法です。たとえ発言しなかったとしても、自分の意見を記録し、この授業に参加したという一体感はとても重要です。もちろん、みんなの前で発言したい子どもにとっても、自分の意見をまとめるのに役立ちます。全員が書いた意見を全て発表することは限られた授業時間の中では難しいですが、可能な限り子どもたちに発表してもらいました。


「家族だけ楽しそう」「自分はひとりぼっちでさびしい」「もっとかまってほしい」「自分だけ暗いところにいるのは嫌だ」「体もマットもきれいにしてほしい」等々みんなの意見を聞いたところで、この犬の気持ちをマークで考えました。1枚目の絵の犬のハートマークとは違い、なみだマークであると言うことができます。




動物も状況によってハートマークの気持ちのときもあれば、なみだマークの気持ちのときもあることを子どもたちがイメージし、それぞれの気持ちに共感することができました。「動物にも心がある」ということを理解していきます。


プログラムⅠのときと同様、プログラムⅡにおいても、要所要所でキーワードを声に出して読み上げますが、キーワードとなる言葉を記憶の中で固定化させることで、次回のプログラムにつなげる工夫となっています。
「動物にも心がある!」と全員で声に出して、この授業を締めくくりました。

プログラムⅠでは「私たちと動物との関わり」に「気づき」、プログラムⅡ「動物と私たちのいのちは同じ」で動物たちの気持ちを想像して「共感」し、動物にも感情があり、人間と同じようにたったひとつの「いのち」を持っているということを学びました。プログラムⅢでは、「気づき」「共感」を経て、「動物のために私たちができること(私たちが動物たちに果たす責任)」について学びます。


次回の授業は、夏休み明けの9月上旬です。子どもたちがプログラムⅠ(気づき)、Ⅱ(共感)で学んだ内容を振り返り、プログラムⅢ(責任)へと進みます。(つづく)