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「いのちの教育」プログラム プログラムⅠ「私たちと動物との関わり」(2021年11月27日)

11月27日(土曜)、梅花女子大学 心理こども学部 心理学科 動物看護・セラピーコースの学外研修として、「いのちの教育」プログラムのプログラムⅠ「私たちと動物との関わり」を実施しました。

現在、宮崎県や明石市、八王子市などの多くの自治体で導入されている「いのちの教育」プログラムは、2012年に奈良県で開発された主に小学生を対象としたプログラムです。こうべ動物共生センターの啓発・教育事業運営を委託されている公益社団法人Knotsは、同年6月より「いのちの教育」普及展開について奈良県と連携協定を結んでいる関係から、こうべ動物共生センターにおいても事業者提案として実施をすることとなりました。実際のプログラムを体験して頂く前に、このプログラムがどのような経緯で現在に至っていて、なぜ奈良県のプログラムを神戸で実施することになったのかをご説明させて頂きました。

すでに10年目を迎えたこのプログラムは、人間が一方的に動物をかわいがるという「愛護」から、動物の「いのち」を通してお互いの関係性を尊重する「共生」に重点を置いた内容になっています。子どもたちが自ら参加するアクティブラーニングの手法で、3つのプログラムを通して「気づき」「共感」「責任」というステップを通して、相手の立場を想像しながら互いの「いのち」の大切さを学びます。

きちんと動物の福祉が担保された状態で行う動物介在教育の効果はすでに知られているところですが、このプログラムでは生体は使用せず、大型の張り子20体とパネル類を効果的に使用して授業を行います。生体を使用しないことによって、移送に伴う動物へのストレス、アレルギーや動物が苦手な子どもへの配慮などを解消すると共に、長時間ストレスにさらされる動物を使用することに伴う実施者のジレンマも無くすことができますし、さらに伴侶動物、産業動物、野生動物と分類分けした多様な動物との関わりを同時に学ぶことができる内容になっています。

元々は動物愛護(管理)センターにおける殺処分数の減少を目的に発案されたプログラムでしたが、現在は、子どもたちが多様な「いのち」との関わりについて自ら考えることによって「いのち」の大切さに気づき、「共生」という視点を学ぶことで「心豊かな市民を育成し、あたたかな社会の実現を目指す」プログラムとして展開されています。



「いのちの教育」プログラムの経緯についての説明後は、いよいよプログラムⅠ「私たちと動物との関わり」の体験授業です。

小学生向けのプログラムなので、学生の皆さんには「童心に帰って授業に参加して下さいね」とお伝えしました。

「にんげんとどうぶつはつながっている?」との質問には、流石、動物看護・セラピーコースの学生さんは、全員「つながっている」と回答。実際の子どもたちへの授業では、このようにすんなりとはいきません。


続いて、実際どのように「つながっている」のか、どのように伝えれば子どもたちにそれを実感してもらえるのか、小学生の子どもたちがこれらのプログラムでどのように学んでいるのか、ということを紹介しながら、模擬授業を体験してもらいました。


まず、私たちの身の周りにいる動物たちのすみかを「街」「牧場」「自然」の3つに分け、どの動物たちがどこで生きているか、張り子の動物たちをそれぞれのすみかに移動させてもらいました。


それぞれのすみかに分類した後、「街」で暮らす動物たちは最後まで人間が世話をする【ペット】、「牧場」で暮らす動物たちは人間が世話をし、私たち人間に役立つものを与えてくれる【家畜】、「自然」で暮らす動物たちは人間が世話をせず、自分たちの力で生きている【野生動物】であることを確認しました。


「張り子の動物たちのすみかは本当にここなのかな?」


自分が正しいと思って置いた「すみか」が、そことは違う場所が本当の「すみか」なのではないか、と考えられる動物もあります。


「カラスは「街」でよく見かけるけど、ペットではないから本来のすみかは「自然」じゃないか」「ウサギはペットとしても飼われているけど、「牧場」にもいる」「豚は家畜だと思うけど、近所でミニブタをペットとして飼っている人がいる」等々、様々な意見が飛び交いました。

ここで大切なのは、正しい場所に置くということではありません。子どもたちが、自分とそれぞれの動物との関わりを自ら考え、「気づく」ということが大切なのです。


そして、「ペット」と暮らすことで私たち人間が癒され幸せな気持ちになること、「家畜」から肉やミルク、卵や毛糸等を与えてもらい私たち人間が健康でいられること、「野生動物」と私たち人間は自然の空気と水を共有しており、それらがきれいに保たれることでお互いに安心して生きられることに気づいていきます。





「にんげんとどうぶつはつながっている!!」という「気づき」で、プログラムⅠは終了しますが、「いのちの教育」プログラムは、プログラムⅡ、プログラムⅢへと続きがあります。



プログラムⅡで登場する「拡張心音計(心臓の音を拡大してスピーカーから聞くことができる機械)」の紹介をし、希望する学生さんたち数名に、自分の心臓に聴診器を当ててもらい、他の人の心臓の音と聞き比べてもらいました。


ひとりひとり音の速さや大きさが違うことを実感し、「ひとりひとり違うけれど、心臓が動いていることはみんな同じ。世界にたったひとつしかない、自分の「いのち」。他の人も同じように世界にたったひとつしかない自分の「いのち」を持っている。それは人間も動物も同じ。自分の「いのち」も、他者の「いのち」もとても大切なもの」であることを伝えました。


この体験授業を通して、学生の皆さんからは「人間と動物がつながりがあることはわかっていたが、どのようなつながりなのかを知ることができた」「自分が小学生の時にこのような授業を受けたかった」「小学生にどう伝えていけば良いのか、伝え方の工夫が勉強になった」等の感想を頂きました。


これから大学で子どもや心理に関わることを学んでいく中で、この日の体験授業が皆様にとっての新たな社会との関わりや、教育・啓発における新たな「気づき」になってくれることを願っています。


こうべ動物共生センターでは、「いのちの教育」プログラムを実施させて頂ける協力校を募集しております。プログラムの内容については以下のリンクをご参照頂き、詳細につきましてはこうべ動物共生センターまでお問い合わせ下さい。