令和5年度「老犬との暮らし方教室」(5月6日)

5 月6 日(土曜)、適正飼養アドバイザーの中塚圭子先生を講師にお招きし、「老犬との暮らし方教室」を開催しました。お天気が不安定な中でしたが、3 歳から18 歳までの犬7 頭と飼い主さんが参加されました。
最初に先生が飼い主さんからおひとりおひとりの悩みの聞き取りをされ、その内容にそってお話をしてくださいました。詳しく話をお聞きしてみると、同じ老犬でも飼い主さんそれぞれが違った悩みを抱えておられることがわかりました。
今回は、「食事」「歩行」「生活」「介護」という分野に分けてお話をしてくださいました。


講師 適正飼養アドバイザー 中塚圭子先生



「食事」については、誤嚥防止への対策について教えていただき、最期の時が近づいて食欲がなくなってきたときには、手作り食を試してみると良いのではとのお勧めがありました。
手作り食の注意点としては、「老犬になってくると繊維質が消化しきれなくなるため、ブレンダーなどで繊維質をよく断ち切ってから提供してください」とのこと。また、下痢になっていないかなどをよく注意することも必要とのことです。
そして、口臭や歯痛予防には食後に水を飲ませたり、歯磨きなども必要です。歯が痛いと夜鳴きの原因になることもあるそうです。




「歩行」については犬のペースに合わせて外を歩き、肉球にいろいろな刺激を与えることも大切だそうです。しかし、歩けない場合は犬具を使用するなどして、無理をせずに家の中で運動することもできます。犬具を上手に使用することで、大型犬でも立ち上がったり歩いたりすることが可能になります。



「生活」全般については、排泄が自分で出来なくなってしまったときにはおむつを使用しますが、排泄後にお尻を洗うことで犬も気持ちよく過ごせます。外でしかトイレをしようとしない犬でも、室内で出来るようにするには、サークルなどで囲った場所にどこで排泄しても良いようにペットシートを敷き詰め、排泄するまで待ち、その場所で排泄することを習慣づけるなど工夫の仕方についても教えていただきました。



「介護」は、多くの飼い主さんが気になるところです。床ずれ防止のマットや体温調節が出来るT シャツ、清拭を気持ちよく行うための「バスボム」、犬用の車椅子など、老犬の介護に必要な用具について教えていただきました。
また、犬の肺は人間のように横に広がっているのではなく、身体に沿って縦になっているので、横に寝かせていたら肺が潰れて苦しくなるそうです。その場合は、身体の下にクッションなどをあてて、少し斜めにするだけでも楽になるそうです。介護用具を適切に使用するためにも、こうした専門的な知識が必要になってきます。



がんばって参加してくれた18 歳の柴犬の飼い主さんは、夜泣きや排泄、食事面など様々な問題を抱えておられましたが、先生が持ってこられたクッションを使用していると、とても気持ちよさそうに寝ていました。



介護はちょっとした工夫やコツで飼い主さんも犬も穏やかに過ごすことが出来ます。参加された飼い主さんたちは老犬との暮らしへの不安をお持ちでしたが、講義が終わったあとは、「たくさんのことを学べて気持ちが楽になった」と言っておられました。先生からは「愛犬のQOL(生活の質)を第一に考えて、一人で悩むのではなく困ったら相談する。そして、最期の看取りのときに、嘆くのではなく「ありがとう」と感謝の気持ちで見送ることができるといいですね」と締めくくりの言葉をいただきました。
「老犬との暮らし方教室」の今後の開催予定は未定ですが、開催が決まりましたらウェブサイトにてご案内をさせていただきます。